結果が出なかった夜に ― 支える側の覚悟
立ち上がる力を育てるために
テストで結果が出なかったとき、落ち込むのは本人だけではありません。隣で見守る保護者も、そして指導する私たちも、同じように胸が痛みます。
「あんなに頑張ったのに」「どうして」
そう思うのは、当然のことです。むしろ、その悔しさは、それだけ本気で向き合ってきた証でもあります。どうでもいい相手のことで、人はここまで胸を痛めたりしません。
正直に言えば、これは今まさに私が直面している話でもあります。6月の模試で大きく崩れてしまった子がいて、答案を前にどう声をかけるべきか、私自身いまも考え続けている最中です。だからこれは、きれいごとを並べた一般論ではありません。今同じ気持ちでいる保護者の方に向けて書いています。
そんなときまず最初にしてほしいのは「頑張りを認めること」です。
結果が出なかったとしても、努力そのものは確かに存在します。点数には表れなくても、机に向かった時間は嘘をつきません。ここで「だから言ったでしょ」と結果だけを責めてしまうと、子どもは「頑張っても無駄だ」と学んでしまう。それは、これから先の長い受験において一番避けたいことです。まずは「ここまでよくやったね」と、その一点を言葉にしてあげてください。たったそれだけのことが、次の一歩を踏み出すための足場になります。
次に「失点の原因を一緒に見つけること」
「どこで」「なぜ」点を落としたのか。ケアレスミスなのか、理解不足なのか、それとも時間配分なのか。原因が違えば、打つべき手もまるで変わってきます。計算ミスなら見直しの習慣を、理解不足ならその単元に立ち返る、時間が足りないなら解く順番を見直す。大切なのは感情をいったん脇に置いて、冷静に答案そのものを眺めることです。「悪い点を取った」という漠然とした不安を「ここを直せばいい」という具体的な課題に変えてあげる。それだけで、子どもの目線はぐっと前を向きます。
そして「今日やることをはっきり示すこと」
落ち込んでいるときこそ、立ち止まってはいけません。立ち止まった時間が長いほど、不安はふくらんでいきます。「じゃあ、これを今からやろう」「ここだけは今日中に克服しよう」
たった一つでも、今やるべきことが明確なら、子どもは迷わず動けます。そして小さくても「できた」を一つ積めば、崩れかけた自信は少しずつ戻ってきます。親も同じです。やることが決まっていれば、漠然とした不安に飲み込まれずに済みます。
ただ、支える側というのは、本当にしんどいものです。
励まし、背中を押し、また落ち込んだ子をもう一度立ち上がらせる。その繰り返しの中で、こちらが先に倒れそうになる夜もあります。子どもの結果に一喜一憂し、自分のことのように眠れなくなる。受験は子ども本人だけでなく、支える側の心も削っていくものです。だからこそ保護者の皆さんも、たまには肩の力を抜いてください。支える人が倒れてしまっては、元も子もないのですから。
それでも、子どもがもう一度顔を上げる瞬間を見ると、逆にこちらが勇気をもらえるんです。昨日まで泣いていた子が、また鉛筆を握る。
その背中を見ると「俺が先に倒れるわけにはいかない」「次こそ必ず結果を出させる」「最後は絶対に勝たせてやる」
そう、思えてくる。子どもの回復力は、こちらが思っているよりずっと強い。私はいつもそれに助けられてきました。
テストの結果が、ずっと高い場所に居続けることなんてありえません。
かつて合不合で1位を取った子を教えたこともありますが、その子だって失敗したときがあります。トップを走る子でも転ぶ。むしろ受験本番までの道のりは、転んでは立ち上がることの繰り返しです。だとすれば、本当に大切なのは「一度も転ばないこと」ではなく「転んだあとにもう一度立ち上がれること」。私はこの力こそ、勉強ができること以上に、その子の一生を支えてくれるものだと思っています。受験という経験を通して本当に手に入れてほしいのは、合格通知だけでなく、この「立ち上がる力」なのかもしれません。
結果が出なかった夜は、苦しい。でもその夜をどう過ごすかが、次の朝を変えます。
頑張れ、受験生! そして保護者の皆さんも、どうか一人で抱え込まないでください。お子さんの隣には、あなたがいる。そしてその後ろには、私たち指導者もいます。一緒に、いい受験にしていきましょう。



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