全部やらなくていい。6年生の秋、塾の宿題が回らなくなったときに削るもの

9月以降、中学受験の6年生は一気に忙しくなります。

通常授業の宿題に加えて、志望校別講座、模試、その復習、そして過去問。

夏まではなんとか回っていた学習が、秋になると突然回らなくなることがあります。

「塾から出された宿題が終わらない」 「過去問をやると復習の時間がなくなる」 「模試の直しまで手が回らない」

こうした状況になると、多くのご家庭がまず考えるのが、

「どうすれば全部終わらせられるか」

ということです。

ですが、6年生の秋は、ここから考え方を少し変える必要があります。大切なのは全部やることではなく、第一志望校に合格するために、今やるべきことを選ぶことです。今回は、その優先順位のつけ方を、できるだけ具体的に整理してみます。

目次

秋になると、学習時間は増えないのに「やること」だけが増える

1日は24時間しかありません。これは夏でも秋でも変わりません。ところが9月以降は、やることだけが増えていきます。

通常の塾の宿題。志望校別講座の課題。過去問。模試の復習。苦手単元の補強。暗記科目の確認。

これをすべて今までと同じ密度でやろうとすると、当然どこかで無理が出ます。睡眠時間を削る。食事中まで勉強する。夜遅くまで宿題を続ける。それでも終わらない。そして最後には、

「うちの子は勉強量が足りないのではないか」

となってしまいます。しかし、問題は勉強量ではなく、優先順位がついていないことである場合がほとんどです。時間という有限な資源に対して、やるべきことのリストだけが無限に増えていく。この構造そのものに気づかないと、いくら頑張っても「終わらない」状態から抜け出せません。

「塾から出されたから全部やる」が秋に通用しなくなる理由

もちろん、塾の宿題には意味があります。講師も必要だと考えて課題を出しています。

ただし、集団塾のカリキュラムは、原則として「多くの生徒に共通して必要な学習」を前提に設計されています。これは夏までは大きな問題になりません。基礎の完成や典型問題の習熟は、志望校を問わずほぼ共通して必要だからです。

ところが秋以降、必要な学習は一人ひとり大きく変わっていきます。第一志望が違う。苦手分野が違う。現在の偏差値も違う。過去問で落としている問題も違う。集団塾のカリキュラムが「平均的に必要な学習」を前提に設計されている以上、一人ひとりに最適化された量にはなっていないというのは、誰の責任でもなく構造上当然のことです。

同じクラスにいる生徒でも、今やるべきことがまったく同じとは限りません。だからこそ、「塾から出た宿題だから、全部やらなければならない」という考え方だけでは、秋以降は苦しくなってきます。宿題を終わらせることと、合格に近づくことは、必ずしも同じではないのです。

優先順位をつけるための考え方:頻出度 × 到達度

では、何を優先し、何を削るべきなのでしょうか。ここで有効なのが、「志望校での頻出度」と「現在の到達度」という2つの軸で学習内容を整理する方法です。

  • 頻出度が高く、まだ得点できていないもの  最優先です。ここを補強できるかどうかが合否に直結します。
  • 頻出度が高く、すでに安定して得点できているもの  時間をかけすぎず、定着維持のための最小限の演習にとどめます。
  • 頻出度が低く、まだ苦手なもの  後回しにする、あるいは志望校によっては割り切って捨てる判断も検討します。
  • 頻出度が低く、すでに得点できているもの  最も削ってよい領域です。これ以上の反復は、時間対効果が低くなります。

この整理をすると、「すでに十分できている単元を大量に繰り返す」「志望校ではほとんど出ない形式に多くの時間を使う」「目的を考えず、指定されたページをすべて埋める」といった学習が、実は優先度の低い領域に含まれていることが見えてきます。何をやらないかを決めるためには、まず何を取るべきかを決める必要があるということです。

過去問という「データ」をどう学習の優先順位に変換するか

夏までの学習では、塾のカリキュラムを中心に進めることが多いと思います。しかし過去問演習が始まると、その子に必要な課題がより具体的に、データとして見えるようになります。

たとえば算数で、速さの問題は安定して得点できているのに、平面図形で毎回大きく失点しているとします。さらに細かく見ると、相似の発見自体はできているのに、比を合成する段階で毎回止まっている、というところまで特定できることもあります。ここまで解像度を上げて弱点を特定できれば、補強すべき内容は「図形全般」ではなく「比の合成」というごく狭い範囲に絞り込めます。

この場合、今後の学習では比の合成に関わる演習の優先度を明確に上げるべきです。ところが、「塾から出された宿題を全部終えてから、過去問で見つかった弱点をやる」という順番にしてしまうと、肝心の弱点補強までたどり着けないことがあります。それでは本末転倒です。

過去問は単なる実力測定ではありません。今後の学習の優先順位を決めるための診断データでもあります。過去問から見つかった課題に合わせて、日々の学習内容を組み替えていくことが必要です。

模試の「直し」も、全部同じ重さでやらなくていい

秋は模試も増えます。模試を受ければ、当然間違えた問題も増え、「全部解き直さなければ」となりがちです。しかし、ここでも優先順位の考え方が必要です。

目安としては、正答率が比較的高い問題を自分だけ落としているのであれば、優先して確認すべき問題です。一方で、受験者のほとんどが解けていない難問に30分、40分とかけることが、今の時期に最善の時間の使い方とは限りません。入試の合否を分けるのは、多くの場合「みんなが取れる問題を確実に取ること」であり、一部の受験生しか解けない難問への対応は、基礎が固まった後の話になります。

模試の復習も、「間違えた問題を全部やる」ではなく、**「次に得点できるようにすべき問題をやる」**という考え方に切り替えていきます。

「やらない」という判断も、立派な受験戦略

秋になると、保護者の方も不安になります。周りの子が過去問を進めている。塾から宿題が大量に出ている。模試の結果も気になる。そうすると、「これもやらなきゃ」「あれもやらなきゃ」と、どんどん学習を足してしまいがちです。

ですが、時間には限りがあります。何かを追加すれば、別の何かに使える時間は必ず減ります。すでにできている内容を必要以上に反復することは、一見すると安心材料になりますが、その時間を本当に必要な補強に充てられていれば得られたはずの得点の伸びを、結果として逃していることになります。

だから秋以降は、「何をやるか」だけでなく「何をやらないか」を決めることも必要です。これは勉強をさぼることではありません。限られた時間を、合格につながる学習に集中させるための、意図的な判断です。

その子によって「削っていいもの」は違う

ここが最も大切な点です。「この教材はやらなくていい」「塾の宿題は半分でいい」と、一律に決めることはできません。同じ学校を目指していても、その子の状況によって優先順位は変わります。

算数に大きな課題がある子。理科・社会の知識不足が目立つ子。過去問では取れているのに模試では点が安定しない子。時間配分そのものに課題がある子。それぞれ必要な学習はまったく異なります。だからこそ秋以降は、志望校の出題傾向、現在の到達度、過去問の答案という3つの材料を照らし合わせながら、一人ひとりの学習を個別に組み直すことが重要になります。

全部終わらせることより、合格に必要なことを終わらせる

6年生の秋。やるべきことが増えて、宿題が回らなくなってきたとき、まず考えてほしいのは「どうすれば全部終わるか」ではありません。

「この子が第一志望校に合格するために、今いちばん必要な学習は何か」

です。塾の宿題をすべて終わらせたこと自体に、入試で点数がつくわけではありません。合格に必要なのは、本番で合格点を取ることです。そのために必要なら、学習の優先順位を変える。やる量を調整する。時には、やらないものを決める。秋以降は、そうした学習設計の巧拙が、これまで以上に結果を左右します。

リブライトでは、塾のカリキュラムや宿題をただこなすのではなく、志望校の出題傾向、現在の学習状況、過去問の答案などを確認しながら、一人ひとりに必要な学習内容を整理して指導しています。

「宿題が多すぎて何から手をつければいいかわからない」 「過去問との両立がうまくいかない」 「今の勉強の優先順位が合っているのか不安」

といった場合も、お気軽にご相談ください。

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この記事を書いた人

生徒・保護者から圧倒的な支持をいただく実力講師
元早稲アカの熱血派の先生です!
圧倒的な指導力で、第一志望合格に導く。
間江先生のプロフィールページはこちら!
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