夏休みを前にしたこの時期、多くの集団塾で個別面談が行われます。小6にとって、夏は受験の天王山。その夏をどう過ごすかを左右するのが、たった20〜30分のこの面談です。
それなのに、成績表の説明を聞いているうちに時間が過ぎ、結局なにを持ち帰ればよかったのか分からないまま終わってしまう。そんな声を、保護者の方からよく聞きます。
塾講師として16年、私はおそらく千を超える面談をしてきました。そこではっきり言えるのは、面談の中身は保護者の質問しだいで決まる、ということです。先生は聞かれたことに答えます。だから、なにを聞くかをあらかじめ決めておくだけで、同じ時間がまるで違うものになります。
今回は現場の感覚から「これは聞いておいたほうがいい」という5つの質問を、面談で話す順番にそって紹介します。
① 受験校について、先生はどう見ていますか
面談で最初に共有しておきたいのが、受験校のことです。ここがはっきりしていないと、このあとの話がどうしても一般論に流れてしまいます。
大切なのは、第一志望、あるいはそれに準ずる学校を、先生にきちんと言葉で伝えておくこと。目標さえ共有できていれば、先生も夏以降の指導をその学校に向けて組み立ててくれます。「たぶん察してくれているだろう」は禁物です。口に出して伝えて、はじめて前提になります。
併願校がまだ決まっていなければ、遠慮なく提案をお願いしましょう。とくに相談したいのは抑えの学校です。1月校を受けるのか、午後入試に組み込むのか、4科の成績バランスから見て相性のよさそうな学校はどこか。このあたりは、たくさんの受験生を見てきた先生のほうが土地勘があります。
この時期に併願校を固めきる必要はありません。受験候補の学校群として先生の見立てを聞き、メモしておく。それで十分です。秋以降の模試を見ながら、そこから絞っていけばいいのです。
② 家での勉強の進め方を伝えて、判断してもらう
次に、いま家でどう勉強しているかを具体的に伝えて、その進め方でいいか見てもらいます。
ここで大切なのは、いきなり「うちの子のやり方、合っていますか」と聞かないことです。先生は塾での様子はよく知っていますが、家での勉強までは見えていません。判断材料がなければ、答えもぼんやりしたものになります。
ですから、先に状況を渡します。「復習はテスト直しを中心に週末まとめて」「朝は計算と漢字、夜に算数の応用」。こんなふうにいまのやり方を一通り話してから「この進め方で大丈夫でしょうか」と尋ねます。そうすれば、返ってくる答えも具体的になります。
また、夏は環境が大きく変わります。毎日のように授業があり、宿題も課されます。環境の変化も含めて勉強方法を相談し、イメージを持って夏期講習会に臨めるようにしておきましょう。
聞きたいのは「成績は上がりますか」ではありません。それは誰にも約束できません。確かめたいのは、やり方そのものがこの子に合っているかどうか。直すべきところがあるなら、夏に入る前のいまこそ直しどきです。
③ いちばん優先して取り組むべきことは何ですか
ここでようやく、課題の話に入ります。
つい「苦手な単元はどこですか」と聞きたくなりますが、苦手は誰でもいくつも抱えています。問題は、それを夏のあいだに全部つぶす時間はないこと。だから聞き方を変えて、「一つだけ選ぶとしたら、いちばん優先すべきはどこですか」と尋ねます。先生も、一つに絞れと言われればはっきり答えてくれます。
優先順位がはっきりすると、もう一つ良いことがあります。やらなくていいことが見えてくるのです。あれもこれもと手を広げ、夏を中途半端に終えてしまうご家庭を、私は何件も見てきました。なにを捨てるかを決めるのも夏の立派な作戦です。
④ 第一志望に近づくために、いちばん伸ばすべき力は何ですか
①で共有した志望校と、③で見えた課題。この二つをつなぐのが、この質問です。
求められる力は、学校ごとにずいぶん違います。計算の正確さを問う学校もあれば、記述で差がつく学校、思考力をじっくり試す学校、とにかく時間内に解き切るスピードが必要な学校もあります。「うちの子が第一志望に近づくために、いま伸ばすべき力はどれですか」と聞けば、志望校から逆算した答えが返ってきます。「全教科がんばりましょう」では終わらない質問です。
⑤ 家庭では何を手伝えばいいですか
最後に、親の役割を確認します。これは先生によって答えが本当に変わる質問です。
復習の管理、丸つけ、宿題のチェック、生活リズムや睡眠、声かけ。家庭にお願いしたいことは、子どもの状態や塾の方針によって違います。先生がなにを期待しているかを聞いておくと、親の関わり方の迷いが減ります。手を出しすぎることも、放っておきすぎることも防げます。
面談前にちょっとした準備を
聞きたいことが決まったら、紙に書き出して優先順位をつけ、当日持っていきましょう。限られた時間での聞きそびれを防げます。話を聞きながらメモを取っておけば、あとで家族と共有でき、家庭の方針もそろえやすくなります。そして面談の終わりに「では夏は◯◯を最優先で進めますね」と一つに言い切って確認しておく。これだけで、次の一歩がはっきりします。
おわりに
面談は、先生の話を聞く時間ではありません。一緒に夏の作戦を立てる時間です。
「最近どうですか」と漠然と聞けば、返ってくる答えも漠然とします。順番まで考えた具体的な質問を用意していけば、同じ20〜30分が見違えるほど濃くなります。お子さんの夏を一歩前に進めるために、次の面談の前に、聞きたいことを一度整理してみてください。
【保存版】面談で聞きたい5つの質問(話す順番)
- 受験校について、先生はどう見ていますか(第一志望の共有/併願・抑えの相談)
- 家での勉強の進め方を伝えて、この進め方で合っているか
- いちばん優先して取り組むべきことは何ですか
- 第一志望に近づくために、いちばん伸ばすべき力は何ですか
- 家庭では何を手伝えばいいですか



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