3×37=111から広がる世界 ― 循環小数の「近道」に見る算数の面白さ

中学受験の算数には、公式や解法を覚えるだけでは到達できない、「数の構造そのものを見抜く力」が問われる問題があります。今回取り上げる循環小数の問題は、まさにその代表例です。

一見遠回りに見える計算が、ある「気づき」ひとつで一瞬にして解けてしまう。この体験こそが、算数を得意科目に変えるきっかけになります。


目次

出発点は「3×37=111」という何気ない計算

まず、次の計算を見てください。

3 × 37 = 111

これだけなら、ただの九九の延長に見えるかもしれません。しかしここに、もう一手を加えてみます。

111 × 9 = 999

つまり、

3 × 37 × 9 = 999

という関係が成り立ちます。一見バラバラに見えるこの2つの計算が、実は「循環小数」という単元の攻略に直結してくるのです。


なぜ「999」が循環小数の鍵になるのか

分数を小数に直す学習の中で、次のような性質を習うことがあります。

1/999 = 0.001001001…

これは、999 × 0.001001… = 1 という関係、つまり 分母が「999」のとき、小数は必ず3桁区切りで循環する という性質によるものです。

同じように、

  • 1/9 = 0.111…(1桁区切りで循環)
  • 1/99 = 0.010101…(2桁区切りで循環)
  • 1/999 = 0.001001…(3桁区切りで循環)

というルールがあります。分母が「9が並んだ数」であれば、循環する桁数が一目でわかるのです。

そして先ほどの 3 × 37 × 9 = 999 という関係は、「37」という分母が、実は999と深く結びついていることを教えてくれます。この気づきが、次の問題を解く強力な武器になります。


実践問題:20/37 の小数第25位は?

【方法1】素直に割り算する

まずは基本通り、20÷37を筆算してみましょう。

20 ÷ 37 = 0.540540540…

「540」という3桁のブロックが繰り返されていることがわかります。

25桁目がどのブロックの何番目かを調べると、25 ÷ 3 = 8あまり1 なので、9番目のブロックの1番目、つまり「5」が答えです。

この方法でも正解にはたどり着けますが、割り算を根気強く続け、繰り返しのパターンを見つけるまでに時間がかかります。試験本番では、この「時間」が大きな差になります。

【方法2】999を使った近道

ここで先ほどの気づきを使います。3 × 37 = 111、そして 111 × 9 = 999 でしたから、

999 ÷ 37 = 27

という関係が成り立ちます。これを使えば、分母を37から999に変換できます。

20/37 = (20×27)/(37×27) = 540/999

分母が999になった瞬間、この小数が「540」という3桁のブロックで循環することが、計算するまでもなく確定します。

540/999 = 0.540540540…

あとは方法1と同じく、25 ÷ 3 = 8あまり1 より、答えは 「5」

筆算を延々と続ける必要がなく、「999に変換できるかどうか」に気づいた瞬間に、答えの構造が見えてしまう ―― これが、この解法の本当の価値です。


この問題が教えてくれる、算数の本質

この解法のポイントは、単に「便利な裏技を覚える」ことではありません。むしろ大切なのは、次の視点です。

  • 37という一見扱いにくい分母が、実は9・27・111・999といった数と密接に関係していることに 気づく
  • 「この数はどこかで見た形と似ている」と、過去に習った知識同士をつなげて考える
  • 一つの計算(3×37=111)を、別の単元(循環小数)に 応用する

これは、単元ごとに解法を暗記する勉強法では決して身につかない力です。中学受験の入試問題、特に難関校で問われるのは、まさにこうした「知識をつなげて、初めて見る問題に応用する力」です。


「面倒」と感じるか、「面白い」と感じるか

正直に言うと、この解き方を初めて見たとき、「そんな面倒なことをしなくても、割り算すればいいのでは」と感じるお子さまは少なくありません。実際、答えだけを出すなら、方法1の力任せな割り算でもたどり着けます。

しかし、ここで 「あ、面白い」と反応できる子どもと「面倒くさい」で終わってしまう子どもの間には、その後の算数の伸び方に大きな差が生まれます。

「面白い」と感じられる子は

  • 別の分数(たとえば 1/7 が 142857 という数字と深く関係していること)にも自然と興味を持てる
  • 「この問題も、あの時の考え方が使えるかもしれない」と、自分から関連づけを探すようになる
  • 結果として、初見の問題に対する耐性、いわゆる「思考力」が育っていく

近年の中学入試では、単純な計算処理よりも、こうした 「数の構造への気づき」や「知識の転用力」 を問う問題が年々増えています。だからこそ、目先の正解・不正解だけでなく、「なぜこうなるのか」「他にも使えないか」を面白がれる姿勢そのものが、大きな武器になります。


ご家庭でできるサポート

こうした「気づきを楽しむ力」は、実は家庭でのちょっとした声かけでも育てることができます。

  • 「これ、前にやったあの計算と似てない?」と関連づけを促す
  • 正解を出すことよりも、「どうしてこの方法だと早く解けるんだろうね」と一緒に不思議がる
  • 「面倒だな」と感じた瞬間こそ、「じゃあ楽な方法がないか探してみようか」と切り返す

正解にたどり着くスピードよりも「気づく楽しさ」を積み重ねること が、結果的に算数を得意科目に変えていきます。


まとめ

3 × 37 = 111、111 × 9 = 999 という何気ない計算から、循環小数の問題をあっという間に解く近道が見えてきます。

  • 分母が999になるように分数を変形すると、循環する桁数がすぐにわかる
  • 20/37 = 540/999 と変形すれば、「540」の繰り返しだと即座に判断できる
  • 大切なのは裏技の暗記ではなく、知識と知識をつなげて、初めて見る問題に応用する姿勢

算数で求められるレベルは年々上がっていますが、それでも変わらず大切なのは「おもしろい」と思える気持ちを失わないことです。


当塾では、公式や解法の丸暗記ではなく、「なぜそうなるのか」を一緒に発見していく指導を大切にしています。お子さまが算数の面白さに気づく瞬間を、ぜひ一度、教室で体感させてください。

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この記事を書いた人

生徒・保護者から圧倒的な支持をいただく実力講師
元早稲アカの熱血派の先生です!
圧倒的な指導力で、第一志望合格に導く。
間江先生のプロフィールページはこちら!
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